唐髪屋の「唐」は、唐人(とうじん)という言葉からとりました。
唐人とは、9世紀の日本の平安時代の頃より書物に残ることばであり、中国大陸より日本に渡ってきた異国人を指します。この頃の異国人が櫛(くし)、薬などを日本各地へ持ち込み、歩き伝えました。そのことをふまえて、唐人さんのように、きれいな髪を創るお店にしたいと想い名付けました。
さらに。
唐髪(からかみ)は、「とうはつ」とも読めます。「とうはつ」は、頭髪と書きます。頭髪を大事にするお店という意味も込められています。唐髪屋の「唐」は、「から」と読みます。私は、世界に溢れる「カラー」で表現することが大好きです。お客様ひとり一人にオリジナルのマイカラーの提案をしています。自分でも出来るかもしれないヘアカラーを、美容室に足を運ぶからこそ、出来る「カラー提案」として、お客様ひとり一人のお肌の色、雰囲気にあわせた「カラー」の提案をさせていただくことで、もっと違う自分を発見していただけたらと思っています。
要は、「すっからかん」の「カラ」から始まりました。(笑)
貯金通帳の残高500円を残し、お財布の中身の1円にいたるまで、すべてかき集めて始めました。
店主である私が、勤め人の頃より応援してくださる多くのお客様の励ましと、多くの仲間に支えられお店を始めることが出来たのです。唐髪屋は、カラの状態からお客様と仲間の御蔭で始まりました、という意味が込められております。
日本では、お店や会社名を記入する際、屋号と書かれたところに、社名を書きます。調べると、屋号は、江戸時代から始まったとされています。一門、一家の特徴をもとに、家に付けられる称号のことであると… 江戸時代より始まったのであれば、その古き歴史の通りに、お客様を唐髪屋一門、一家のようにひとつの家として、家族のように大切に思う意味で「屋」 とつけました。
唐髪屋は、美容室ではありますが、一歩暖簾をくぐり、引き戸を開けていただいて、ご来店くださったお客様に、唐髪屋とゆう座敷におあがりいただいている、という想いでおります。初めてご来店くださるお客様でも、家族のような気持ちでおもてなしをさせていただき、施術いたしております。型にはまった接客ではなく、お客様の気持ちを少しでも癒せる空間と、遊びの心と会話を大切にしています。
コロナ感染症対策をしっかり行いながら、店舗改装を行い、現在は、以前の暖簾を外し、提灯を掲げております。
私は、見栄をはることができません。唐髪屋開店当初より、随分とお店も変貌を遂げ前進しています。唐髪屋はお客様のお蔭で成り立っております。以前の開業の地ではいろいろありましたが、「自分の想うお店を作り移転しよう!」と行動開始し、平成19年11月15日、大阪市阿倍野区(現住所)に移転、開店いたしました。今の阿倍野区のお店を開店するにあたり、お客様のための椅子である「セット椅子」「シャンプー椅子」にもこだわり、くつろぎ、疲れを癒すものとして、私が自らショールームへ出向き、「いい!♪」って思うものを選びました。前の唐髪屋では成しえなかった空間を作ろうという強い想いからでした。
一席、一席がくっつきすぎず、それでいて、離れすぎていない距離。コロナ感染症対策で、ビニールカーテンを設置しました。
洗髪しても寝ていられる、ゆったりとしていれるお席など。最後に、和の素材や雰囲気にこだわるのは、和服を着た時の姿勢や所作に込めるお客様への想いと、和の持つやさしさや清潔さが本当に好きで、お客様と共に、この唐髪屋をもっと心地よい空間にして行きたいと願っております。
是非ご来店いただいた折には、みなさまとお話をさせていただきたいと思います。
2020年 店主 冨山秀世